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当院で皮膚科と中医学をなぜ同時に考えるのか?を中医学的観点からせめてみた!!
私は標準治療を基本のベースとしながら、中医学(東洋医学)、腸活(腸内環境を整える)を同時に行うことが多いです。
もしも、西洋医学の標準治療のみの動物病院様で治療をしていた飼い主様がここにいらっしゃると少しだけ困惑してしまうことがあるかもしれませんね
今日は中医学から「脾」をピックアップしてお話をしてみようと思います。
ちょっと難しい内容になりますが、読んでみてください。
皮膚は全身の写し鏡です。そして全身の状態の要は腸です。
中医学では腸の事を「脾」と呼びます。
脾には2つの特性があります。
1脾気が昇(運化)を主(つかさど)ること
2脾は燥を喜び、湿を嫌うことです。
なんのこっちゃ??ですよね。
脾の調子が悪くなると
①運化(食べ物を消化・吸収する働き)が鈍くなります。
脾は運化を主るので、飲食物を消化吸収できなくなります。
西洋医学的にいうと
特に吸収のことになります。運化機能が低下すると、吸収機能が弱まり、栄養素が吸収できず血を作る材料が不足して
血液を作れなくなります。
②気が昇らなくなります。
気とは?気は目に見えない生命を維持するためのエネルギーの事です。
気が昇らないと統血が失調します。
(統血とは?血を漏らさないように血管内に留めておく力)
脾の病変は、気虚が本で、湿困が標です(気虚為本、湿困為標)。
脾は気血を作る源なので、気虚は脾の本質的な病理です。
脾の虚証は気虚で、脾の実証は湿困で、脾虚生湿となります。
虚は気虚で、実は湿困で、脾の病気では気虚と湿困の2方面の証候が出現します。
ここは難しいですね・・・
★主な脾の病気★
1. 脾気虚証
脾気虚とは
食少(食欲低下)・腹脹(お腹がはる)・便溏(泥状便・軟便)と主な症状があります。
その他に
気短、乏力、神疲、脈弱
それ以外に脾気が不足すると、栄養を吸収できなくなる他に、
水湿の運化する働きが低下するため、むくんだりします。
2. 脾不統血証
脾気が虚弱なため、気が血を留めることができず、慢性の出血傾向が見られます。
血尿、血便、吐血、鼻出血、紫斑、月経過多などの慢性出血が見られます。
出血はその他。損傷や血熱、血瘀で見られます。
脾不統血の出血は慢性で繰り返すのが特徴です。
3. 寒湿困脾証
外界の湿邪(梅雨時期など)が多すぎること、または生ものや冷たいものなどを食べすぎたり(夏)することによって、
脾の運化に影響して生じる証侯です。
湿邪の特徴である、重もだるい・濁・みぞおちが悶々とするなどが見られます。
また、脾の症状として、納保(食べさせれば少しは食べられるが、食べなくてもいい。お腹が減らない)・腹脹・隠痛・便溏があります。
・脾虚湿困と寒湿困脾の違い
脾虚湿困はもともと脾虚があって、
徐々に体が重い、白色帯下があるなどの湿の症状が出現してくるものです。
寒湿困脾は湿困脾陽とも言われますが、
湿が最初にあって、脾の機能が低下してくるものです。
・脾陽虚と寒湿困脾
脾陽虚では陽気不足のため、水湿の運化ができず、寒湿が内停します。
寒湿困脾では寒湿が内盛するため、脾陽が損傷されます。
特に脾は三つの点を重視しします。
①脾は元気の源であること。
②脾は昇降(気の流れをコントロール)の中枢であること。
③脾と湿の関係(脾は湿を嫌います。)
治療では、益気、昇陽、除湿 のを重視していきます。
皮膚がベタベタしているのか?(湿が溜まっていないか?)
それとも皮膚が乾燥しているのか?(血液が少ないのか?)
食事内容はどうなっているのか?便の回数は多いか?少ないか?
便の状態は?
ストレスはないのか?
腸が元気なのか?元気そうに見えるが隠れている状態があるか?を問診をしながら探っていっています。
なので、皮膚科診療はとても時間がかかります。
表面だけではないのです。
皮膚の症状でお困りのことがありましたら、様々なご提案ができると思いますので是非当院にご相談ください。